
2026年9月15日|九月場所三日目・十両
大きな投げが出る前にも、見たい瞬間はあります。右腕が脇の下へ入った。押す手に足がついていった。相手との距離がふっと変わった。三日目の十両は、そんな小さな攻防を一番ずつ追ってみます。気になる力士のところからどうぞ。
取組前プレビュー。星は二日目終了時点。組合せ・取組順は日本相撲協会の三日目取組表を確認しています。見どころは得意技などの公開情報を踏まえた観戦の提案です。
| 順 | 東 | 星 | 西 | 星 |
|---|---|---|---|---|
| 1 | 日向丸 | 0勝1敗 | 時不動 | 1勝1敗 |
| 2 | 明生 | 1勝1敗 | 栃大海 | 1勝1敗 |
| 3 | 玉正鳳 | 0勝2敗 | 錦木 | 0勝2敗 |
| 4 | 嘉陽 | 2勝0敗 | 日翔志 | 1勝1敗 |
| 5 | 輝 | 2勝0敗 | 東白龍 | 1勝1敗 |
| 6 | 炎鵬 | 1勝1敗 | 生田目 | 2勝0敗 |
| 7 | 丹治 | 1勝1敗 | 羽出山 | 0勝2敗 |
| 8 | 翠富士 | 1勝1敗 | 友風 | 0勝2敗 |
| 9 | 竜電 | 1勝1敗 | 白熊 | 2勝0敗 |
| 10 | 佐田の海 | 1勝1敗 | 嵐富士 | 1勝1敗 |
| 11 | 北の若 | 2勝0敗 | 御嶽海 | 0勝2敗 |
| 12 | 玉鷲 | 0勝2敗 | 阿武剋 | 1勝1敗 |
| 13 | 風賢央 | 2勝0敗 | 一意 | 1勝1敗 |
| 14 | 出羽ノ龍 | 1勝1敗 | 旭海雄 | 0勝2敗 |
1. 日向丸―時不動|新十両の一歩を、足元から。
新十両の時不動関は、二日目まで1勝1敗。三日目は西幕下二枚目、0勝1敗の日向丸さんと対戦します。時不動関の得意は押し・左四つ・寄り。日向丸さんは突き・押しです。押し合いが続くのか、時不動関が左腕を入れて組みにいくのかが気になります。
まずは当たった直後の時不動関の左肘に注目。相手の右脇の下へ入るのか、胸の前に両手を置いて押すのか。日向丸さんは、腕を差される前に相手の体を起こして離せるでしょうか。
そして、上半身だけを追わず足元も。腕を入れた瞬間に足が一歩ついていくかを見ると、まわしに届くまでの攻防がぐっとわかりやすくなります。新十両の三日目、立合いから見届けたい。
2. 明生―栃大海|左腕が入る前に、押せるか。
ともに1勝1敗の明生関と栃大海関。公式の得意技は、明生関が左四つ・寄り、栃大海関が突き・押しです。今日は「組むまでの距離」が気になります。
見たいのは明生関の左肘。相手の右脇の下へ腕を差し込めれば、好きな組み方へ近づきます。栃大海関は、その腕が入る前に胸へ手を当てて距離を保てるか。最初のひと押しのあと、明生関の体が起きるのか、それとも密着するのかが観察点です。
公式登録の身長は明生関178cm、栃大海関193cm。15cmの差を見て終わりにせず、長い腕で離す工夫と、懐へ入る工夫を見比べたい。形が決まるまでの数秒にも、ちゃんと楽しみがあります。
3. 玉正鳳―錦木|初白星へ。先に形を作るのは?
玉正鳳関と錦木関は、ともに0勝2敗。三日目に今場所最初の白星をつかむのはどちらでしょう。玉正鳳関の得意は右四つ・寄り・投げ。錦木関の得意技欄は押しですが、直近6場所の白星で最も多い決まり手は寄り切りです。
だから、離れて押し合う時間だけでなく、胸が合ったあとも見たい一番。玉正鳳関の右腕が内側に入るか。錦木関が腰を寄せ、相手との隙間を小さくするか。腕の位置と体の距離を、セットで追ってみます。
もし土俵際で向きが変わったら、投げた手だけでなく足の置き直しにも注目。まっすぐ押す力と横へ動かす工夫がどうぶつかるのか。星の数だけでは見えない面白さを、ここで見つけたい。
4. 嘉陽―日翔志|押す手と、差す右腕の競争。
2連勝の嘉陽関に、1勝1敗の日翔志関。嘉陽関は突き・押し、日翔志関は右四つ・寄りを得意にしています。観る前に覚えておきたいのは、日翔志関の右腕です。
右腕が嘉陽関の左脇の下へ入れば、日翔志関は得意の組み方へ近づきます。嘉陽関は、そうなる前に胸の前から押して相手を起こせるか。手が離れた一瞬に腕を差されることもあるので、一発目の強さだけでなく、二の矢の手がどこへ伸びるかも見たい。
組む・押すという違いが、目の前の腕一本で見える組合せ。嘉陽関の3連勝を期待しつつ、日翔志関がその距離をどう詰めるかも楽しみです。最初に手が当たる場所と、次の手の動き。今日はそこを見比べてみます。
5. 輝―東白龍|手より先に、足を見たくなる。
輝関は2勝0敗、東白龍関は1勝1敗。どちらも得意技は突き・押しですが、同じ押し相撲でも足の使い方を比べると面白そう。
東白龍関は公式アンケートで、自分の持ち味として「引き足」を挙げています。輝関が前へ出るとき、腕だけが伸びて足が置き去りになっていないか。東白龍関が距離を変えたとき、輝関が足を運び直して正面を保てるか。ここを追いたい一番です。
東白龍関についても、下がったことだけで受け身とは決めつけず、次にどこへ向き直るかまで見届けたい。押す腕の迫力の下で、足が細かく働いているはず。輝関の3連勝なるか、画面の少し下側にも目を配って観戦します。
6. 炎鵬―生田目|近づきたい。近づけたくない。
1勝1敗の炎鵬関と、2連勝の生田目関。炎鵬関の得意は左四つ・下手投げ、生田目関は突き・押し。腕の内側へ入りたい側と、手で距離を作りたい側の攻防に注目です。
炎鵬関が低く入ったら、頭だけでなく左手の行き先を見たい。まわしへ届くのか、その前に生田目関の手が胸や肩へ当たるのか。生田目関は相手が横へ動いたとき、手だけで追わず足も動かして正面を向けるかが観察点です。
公式登録は炎鵬関107kg、生田目関176kg。この差があるからこそ、密着できるかどうかが気になります。投げが出るかを待つだけではもったいない。その前の「つかめる距離」を、じっくり見たい一番です。
7. 丹治―羽出山|右腕一本、その先に連勝。
新十両の丹治関は1勝1敗。0勝2敗の羽出山関と向き合います。丹治関の得意は右四つ・寄り、羽出山関は突き・押し。今場所から関取として土俵に上がる20歳の丹治関が、好きな形へどう近づくかを見たい。
注目するのは右肘です。相手の左脇の下へ入るのか、それとも羽出山関の押す手に遮られるのか。もし丹治関が腕を差せたら、そこで完成と思わず、左手がまわしまで届くかも追ってみてください。
羽出山関は、密着される前に体を起こして離したいところ。腕を入れる一瞬と、その腕を入れさせない一瞬。白星が決まるずっと手前の小さな勝負に、二人それぞれの持ち味が見えてきそうです。
8. 翠富士―友風|「落とす」までの駆け引き。
翠富士関は1勝1敗、友風関は0勝2敗。翠富士関の得意技には肩透かし、友風関の公式集計では直近6場所の白星の70%が叩き込み。相手の姿勢が崩れる、その前を見たくなる組合せです。
翠富士関については、腕が相手の脇の下へ入る瞬間を。友風関については、手を上から使う前に相手をどう前へ呼び込むかを。技名を当てるゲームにせず、二人の頭が足より前に出すぎていないかも追ってみたい。
前へ出ているように見える側が、いつも安全とは限らないのが相撲の面白いところ。かといって、引けば決まるわけでもない。足が残るか、上体だけが流れるか。その違いが見えたら、もう一度再生したくなるはずです。
9. 竜電―白熊|両腕を入れるか、片腕を守るか。
1勝1敗の竜電関と、2連勝の白熊関。竜電関の得意技欄はモロ差し・寄り。白熊関は右四つ・寄りです。どちらも組む相撲だからこそ、腕の収まり方を細かく見たい一番。
モロ差しは、両腕を相手の両脇の下へ入れる形。竜電関が片腕を入れたあと、もう片方まで内側へ通せるかに注目します。白熊関は右腕を内側に置きながら、反対の脇からも入られないようにできるか。
胸が合って動きが止まったように見えても、肘の位置が少し変われば組み手も変わります。まわしをつかむ手と、その手を通す脇。両方を見比べると、静かな時間も退屈しません。白熊関の3連勝が懸かる土俵、まずは腕の陣取りから。
10. 佐田の海―嵐富士|その低さを、つかまえられるか。
ともに1勝1敗の佐田の海関と嵐富士関。佐田の海関は右四つ・寄り、嵐富士関は押しが得意。嵐富士関は公式アンケートで、自分の一番の持ち味に「低さ」を挙げています。ここは実際の土俵でも確かめたくなります。
立合いでは、嵐富士関の腰の高さと、その後に足が前へついていくかを見たい。佐田の海関が右腕を差そうとしたとき、腕が内側へ入る余地はあるのか。押す手と差す腕がぶつかる場所が、最初の注目点です。
佐田の海関は39歳、嵐富士関は21歳。年齢差だけで物語を決めず、組ませない工夫と組みにいく工夫を見たい。嵐富士関の低い姿勢に、佐田の海関がどんな入り方をするか。そこまで含めて楽しみです。
11. 北の若―御嶽海|2連勝と初白星。胸の前の攻防。
2勝0敗の北の若関、0勝2敗の御嶽海関。北の若関の得意には突っ張り、右四つ、寄り、上手投げが並び、御嶽海関は突き・押し。北の若関が押し合いを続けるのか、腕を差して組みにいくのかが気になります。
御嶽海関については、当たったあとに胸の前の手がどこへ動くかを。相手を起こして前へ運ぶのか、北の若関に腕を入れられるのか。北の若関が右腕を差したら、左手がまわしへ向かうところまで追ってみたい。
星だけを見れば対照的でも、土俵では最初の一歩から始まります。押し切る形か、組んで運ぶ形か。二人の間の距離が変わる瞬間を見逃さず、北の若関の3連勝と御嶽海関の初白星、どちらの行方も見届けます。
12. 玉鷲―阿武剋|離して押すか、近づいて寄るか。
玉鷲関は0勝2敗、阿武剋関は1勝1敗。玉鷲関は押し、阿武剋関は右四つ・寄りを得意としています。今日は二人の胸の間に、どれだけ隙間があるかを見たい。
玉鷲関の手が相手の胸へ届き、腕を伸ばせる距離なら押しを追いたいところ。阿武剋関が右腕を内側へ差し込んだら、まわしへ手が届くかに目を移します。押す手をはずす動きと、その隙間へ腕を通す動き。立合い直後に注目が詰まっています。
阿武剋関は公式アンケートで趣味にチェスを挙げています。だから読み勝つはず、と決めつけはしません。でも、一つの手に次の手を重ねる攻防を想像すると楽しみになる。玉鷲関の初白星なるか、まずは距離の取り合いから。
13. 風賢央―一意|押し続ける足、受け止める腰。
風賢央関が2連勝で迎える三日目。相手は1勝1敗の一意関です。風賢央関の得意は押し。一意関は突き・押しに加え、左四つ・寄りも得意技に並びます。
一意関の公式登録体重は202kg。大きさに目がいきますが、見たいのは風賢央関の足。手で押したあとに次の一歩が出るか、相手の腰を後ろへ運べるかを追います。一意関は押し返すのか、左腕を相手の右脇へ入れて組むのか。その選択にも注目です。
動きが小さくなったときこそ、足が止まっているのか、少しずつ運ばれているのかを見比べたい。腕の力だけでは読み切れない押し合いを楽しむ一番。風賢央関の3連勝を、一意関がどんな形で止めにいくのでしょう。
14. 出羽ノ龍―旭海雄|得意技の先まで見たくなる。
十両最後の一番は、1勝1敗の出羽ノ龍関と0勝2敗の旭海雄関。出羽ノ龍関の公式の得意技は突き・押し。でも直近6場所の白星で最も多い決まり手は寄り切り。得意技欄だけでは読み切れないところが気になります。
旭海雄関の得意は押し・左四つ・寄り。まずは離れて押すのか、胸が合うのかを。組んだら旭海雄関の左腕が内側に入るか、出羽ノ龍関がどちらの手でまわしを探すかを追いたいです。
押し合いから組み合いへ変わる瞬間に、観る場所も手のひらから肘とまわしへ。先入観を少し横へ置くと、力士の引き出しが見つかるかもしれません。旭海雄関の初白星なるか、幕内へ続く最後の土俵まで楽しみたい。
見つけた一瞬を、次の観戦へ
気になった一番は、決まり手だけでなく「腕が入った」「足がついていった」と一言メモしておくと、翌日の土俵を見る楽しみが増えます。今日の予想と違う形になったら、そこが次に調べたいところ。全14番、それぞれの好きな一瞬が見つかりますように。
取組表:日本相撲協会・令和八年九月場所三日目。休場情報もあわせてご確認ください。