
関脇は、幕内番付で大関の下、小結の上に置かれる地位です。大関・関脇・小結を普通「三役」と呼び、待遇など別の文脈では関脇・小結だけを三役とする場合もあります。大関昇進と結び付けて語られますが、日本相撲協会の公式解説も三役3場所33勝を「目安」と表現しています。33に届けば自動昇進する条文、と読み替えてはいけません。
関脇の名前を見ると、つい「次は大関」と一直線に矢印を引きたくなります。でも、この地位のおもしろさは待合室にあるのではありません。今場所の番付で大関のすぐ下に立ち、上位陣と同じ十五日間を戦う現在地そのものにあります。
番付では大関と小結の間
幕内は横綱、大関、関脇、小結、前頭の順です。2026年九月場所の公式番付トピックスには、東関脇の熱海富士関と、新関脇となった西の藤ノ川関が載っています。東西の細かな順は、同じ地位なら東を上と読むため、番付の東西記事と組み合わせると位置を正確に追えます。
この二人は現在例です。関脇は終身称号ではなく、次の番付で名前も人数も配置も変わり得ます。「元関脇」は最高位や経歴を表しますが、今日の取組表で関脇とは限りません。
三役という言葉は文脈を確認する
日本相撲協会の大相撲クイズNo.701は、普通は大関・関脇・小結を三役と呼ぶと説明しています。一方で、待遇面では大関を除き、関脇・小結のみを三役として扱うとも記しています。さらに横綱は現在、三役とは別格です。
「三役だから関脇」と逆向きに決めず、番付に印刷された個別の地位を見るのが安全です。千秋楽の三役揃い踏みの「三役」はまた進行上の名称で、横綱が登場することも公式解説に示されています。同じ言葉でも用途を一つずつ分けます。
33勝は「目安」であり自動ドアではない
大関昇進の話題でよく見る数字が「三役で直近3場所33勝」です。日本相撲協会の大相撲クイズNo.236も、大関昇進条件として三役33勝が目安と説明しています。ここで重要なのは、公式ページ自身が「目安」と書いていることです。
一勝足りないから絶対に不可能、33勝なら審査なしで自動確定、とまではその説明から言えません。実際の昇進は公式発表で確定させます。協会の豊昇龍新大関のお知らせも、番付編成会議と理事会を開き、昇進を決定・発表したと記録しています。数字は観戦の手掛かり、発表は確定事実です。
関脇には決められた「相撲の型」はない
「関脇なら前へ出るべき」「この技では大関になれない」といった言い方は、観戦者の評価や期待です。今回確認した番付・昇進資料は、関脇が特定の決まり手を使わなければならないとは定めていません。
勝敗だけでなく内容を見るのは楽しい。でも、それを制度の条文として扱わないこと。押す、組む、いなすなど、力士それぞれの相撲を見たうえで、公式番付がどう決まるかを待ちます。
次の一番では「最初の二歩」を一つだけ見る
次に関脇の一番を見たら、昇進計算をいったん横へ置き、立合い後の最初の二歩を見てください。相手の正面へ進めたか、まわしへ手が届いたか、横へ動いて角度を作ったか。これは昇進基準ではなく、その人の相撲を好きになるための観察です。
一番が終わったら白星か黒星を三場所の線へ一つ足す。土俵上の二歩と番付上の長い時間を分けて見ると、関脇は「大関になれなかった人」ではなく、今日いちばん気になる現在地になります。
出典
- 日本相撲協会「令和八年九月場所 番付トピックス」「大相撲クイズNo.701、No.236」「新大関 豊昇龍 誕生」(2026年9月3日確認)
確認に使った資料リンク
各リンクは記事内の対応する主張の確認に使用しました。リンク先全体を無条件に正しいとみなすものではありません。
記事確認日:
- 日本相撲協会 令和八年九月場所 番付表・番付トピックス一次資料(記事の確認日時点)
- 日本相撲協会 大相撲クイズNo.701(三役の範囲)過去の一次資料(当時の記録)
- 日本相撲協会 大相撲クイズNo.236(大関昇進の33勝目安)過去の一次資料(当時の記録)
- 日本相撲協会 新大関豊昇龍誕生(番付編成会議・理事会の決定)過去の一次資料(当時の記録)