
「右で投げたか、左で投げたか」ではなく、まわしを取った腕が相手の差し手より上か下かを見ます。相手の差し手の上からまわしを取って投げれば上手投げ。差し手の下、つまり相手の脇の内側へ入った腕でまわしを取って投げれば下手投げです。上手・下手は左右ではなく、組んだ腕の上下です。
名前だけ聞くと、上手投げの方が上級で、下手投げが下級のようにも見えます。もちろん技の格付けではありません。二人が組んだ時、腕がどの道を通ってまわしへ届いたかを、そのまま名前にしています。
まず「差し手」を一つ見つける
相手の脇の下へ腕を入れることを「差す」といい、その腕が差し手です。二人が四つに組んだら、一方の腕が相手の脇の内側へ入り、もう一方は外側から相手の腕を覆う形になります。
外側からまわしを取った手が上手、内側から取った手が下手です。右手か左手かは別の情報で、右上手から投げれば「右からの上手投げ」、右下手からなら「右からの下手投げ」と呼びます。
上手投げは外側のまわしから
日本相撲協会は上手投げを、四つに組んだ時、相手の差し手の上からまわしを取って投げる技と説明しています。相手の腕を外側から覆うため、肩や肘の位置は上に見えやすくなります。
投げで相手が倒れなくても、その力で土俵外へ出れば上手投げです。「投げ」という名前だから必ず土俵上へ転がる、とは限りません。
下手投げは内側のまわしから
下手投げは、相手の差し手の下でまわしを取り、その手から投げて勝つ技です。差した腕が相手の脇の内側へ入っているので、肘が身体の近くに収まりやすく見えます。こちらも投げの力で相手が立ったまま外へ出た場合、決まり手は下手投げになります。
公式ページの2013年一月場所以降、2026年七月場所千秋楽まで190,450番の集計では、上手投げが8,802回・4.6%で6位、下手投げが4,323回・2.3%で10位です。集計期間や番付表示は更新されるので、割合は定期的に再確認します。
図の詳しい説明
両カードに灰色の横帯を置き、まわしという判断対象を抽象化します。斜めの金棒は相手の差し手という層を示す記号で、腕の形や角度ではありません。カード1は青い線と赤い接点が金棒の上側から横帯へ届き、相手の差し手の上から取る上手の関係を示します。カード2は青い線と接点が金棒の下側から横帯へ届き、差し手の下で取る下手の関係を示します。帯幅、棒の角度、接点位置、線の曲がりは実在の身体・まわし・手、左右、握り方や投げ方向を再現せず、投げの成立を保証しません。
投げが始まってからでは遅いので、組んだ瞬間を見る
投げの瞬間は速く、身体が重なるため、手元を探している間に勝負が終わります。そこで投げる前、二人が止まったように見える四つ身の時に準備します。
- どちらの腕が内側へ差さっているか
- その手がまわしを取っているか
- 外側の手もまわしへ届いているか
- どちら側へ腰を回し始めたか
一つしか見えなくても構いません。「勝った力士の右手は内側だった」と覚えて場内放送を待つ。下手投げと告げられたら、目で見た位置と言葉が結び付きます。
一本のまわしが、二人には違う地図になる
同じまわしを二人が握っているのに、片方には上手、もう片方には下手がある。ここが面白いところです。どちらの手を先に取るか、相手の得意な形を与えないか、投げが出る前から腕の順番を争っています。
決まり手を知ると、豪快に転がる瞬間より前へ目が戻ります。次の一番では投げを待たず、組んだ瞬間に一人の肘だけ見てください。数秒後の「上手投げ」が、突然ではなく準備された技に見えてきます。
似て見えても技名は映像だけで決めない
この技に似た手や倒れ方があっても、決め手となった動作、相手が崩れた順序、土俵を割ったか手をついたかで公式の決まり手は変わり得ます。画面の一角度だけで似た技・非技・反則との差を確定せず、当日の公式結果を答えにします。模式図は観察点を示すだけで、審判判定を再現するものではありません。
出典
- 日本相撲協会「決まり手八十二手・上手投げ」(2026年9月2日確認)
- 日本相撲協会「決まり手八十二手・下手投げ」(2026年9月2日確認)
確認に使った資料リンク
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記事確認日:
- 日本相撲協会 決まり手八十二手 上手投げ一次資料(記事の確認日時点)
- 日本相撲協会 決まり手八十二手 下手投げ一次資料(記事の確認日時点)