相撲の三段構えとは?本然・攻撃・防御の三つの体

土俵入りで化粧まわしへ両手を添える力士たちを表したミニチュア

三段構え(さんだんがまえ)は、番付最高位の力士二人が古式にのっとって演じる、相撲の基本体を示す儀式です。日本相撲協会は、上段を「本然の体」、中段を「攻撃の体」、下段を「防御の体」と説明しています。毎日の本場所で三段すべてを見られる通常進行ではありませんが、幕内・十両土俵入りで化粧まわしを両手で少し持ち上げる短い動きに、その簡略形が残るとされています。

「三段」と聞くと、三回姿勢を変える体操を想像しがちです。けれど調べると、三つは高さの違いだけではなく、自然、攻め、守りという相撲の状態を身体で並べる儀式でした。しかも、めったに見る機会がない古式の形が、いつもの土俵入りのほんの小さな持ち上げ動作へ折りたたまれている。ここがたまらなく面白いところです。

三段構えの上段は本然、中段は攻撃、下段は防御を表すという三つの意味を、人体を描かず対等な記号で示す図
①本然の体、②攻撃の体、③防御の体。上下のカード位置は読み順で、姿勢の高さ・優劣・角度・実演方法ではありません。
図の詳しい説明

上から三枚のカードを読みます。一枚目は中心と四方向へ均衡する線で本然の体、二枚目は一点から前へ進む矢印で攻撃の体、三枚目は開いた弧と内側の点で防御の体という意味だけを表します。三つの記号は同じ大きさで、上段が強いという順位を示しません。カードの上下は読み順で、実際の重心高や身体位置ではありません。人物、手足、関節角度、足幅、動作、速度、二人の間隔、装束、特定力士、稽古の手本、由来の確定年は描いていません。

図: SUMO ARCHAEOLOGY CLUB · 図の情報源 1 · 図の情報源 2 · 図の情報源 3

三つの構えが表すもの

協会の公式解説では、三段構えは次の三つで構成されます。

| 構え | 公式説明で表す体 | |—|—| | 上段の構え | 本然の体 | | 中段の構え | 攻撃の体 | | 下段の構え | 防御の体 |

「本然」は普段の会話では聞き慣れない言葉です。ここでは、攻撃か防御かに偏る前の、本来の自然な体として公式説明に置かれています。上・中・下を強さの順位だと考えたり、上段だけが優れていると読んだりするものではありません。異なる三つの状態を一組として見ます。

普通の取組の構えとは違う

三段構えは、立合い前に毎回行う仕切りの型ではありません。番付最高位の二人が演じる古式の儀式として伝わるものです。初観戦で「今日は何時に三段構えがあるのか」と通常の時間割から探しても、原則として見つかりません。

公式クイズは「大相撲beyond2020場所」で白鵬と稀勢の里が演じた例を挙げています。特別な実演や記録映像に出会った時は、技名を当てるより、二人が同じ型を鏡のように合わせ、自然・攻撃・防御へ移る順を見てください。

由来は「と言われる」として読む

協会は、第23代吉田追風が考案し、第19代横綱常陸山と第20代横綱梅ヶ谷へ伝えたのが始まりと言われる、と紹介しています。ここでは公式文の留保を外しません。「考案したことが史料で完全確定している」と強めず、協会が伝える由来として扱います。

古い儀式は、後世の伝承、実演、文章が重なって現在へ届きます。分からない隙間を格好いい物語で埋めるより、「どこまでが公式に言われているか」を残す方が、次に資料を見つけた時の楽しみも残ります。

土俵入りの化粧まわしに短い形がある

幕内・十両土俵入りでは、全員が内側を向き、拍手、右手、化粧まわし、両手という所作を続けます。協会は、化粧まわしを両手で少し持ち上げる動きを三段構えの簡略形と言われるものとして紹介しています。

本格的な三段構えそのものではありません。けれど、化粧まわしの房や刺繍だけを見ていた一瞬に、相撲の三つの体を表す古式の儀式が小さく畳まれていると知ると、持ち上げる数秒を待ちたくなります。

前の拍手と右手は塵浄水、後の両手は四股の簡略形と説明されます。つまり、あの短い集団動作は、三つの文化記事への目次にもなっています。

次の土俵入りでは中央の布だけを見る

全員の化粧まわしを撮ろうとすると、所作はすぐ終わります。次は一人だけ選び、拍手の後、その人の両手が前垂れのどこへ触れるかを見てください。ほんの少し布が上がり、すぐ次の動きへ移ります。

三段構えを実演で見られない日でも、その名前は消えていません。刺繍の下に添えられた二つの手が、古式の三つの体へ細い糸を伸ばしています。土俵入りが華やかな紹介だけでなく、古い動作を小さく保存する場所だと分かると、次の円陣がまるで動く博物館に見えてきます。

出典

  • 日本相撲協会「大相撲クイズNo.775、No.904、No.356、No.912」(2026年9月2日確認)

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