
行司は全員が同じ装束を着ているわけではありません。直垂(ひたたれ)の飾りひもや菊綴、軍配の房の色は階級で決まり、十枚目格から白足袋、三役格から草履と印籠、立行司になると短刀が加わります。最初から色を全部暗記せず、次の一番では行司の足元だけ見てください。裸足、白足袋、草履のどれかを見つけると、力士だけでなく裁く人にも番付があると分かります。
豪華な直垂と烏帽子、よく通る声、勝負を示す軍配。初めて見ると行司は一つの完成した姿に見えます。ところが取組が進むにつれて、足元と房の色が少しずつ変わる。相撲の一日は、行司の装束でも番付を上っていたのです。
図の詳しい説明
六つの横列を上から1〜6で番号付けします。左の房記号は単色指定を無地、二色指定を二分模様で表し、6段目だけは黒または青という選択肢を破線で表しますが、灰色の濃淡は公式色ではありません。中央の足元記号は、6段目を二つの接触点、5・4段目を白足袋の抽象記号、3〜1段目を草履の抽象記号にします。右の小箱は3〜1段目の印籠、短い斜線は2・1段目の立行司の短刀許可を表します。直垂、軍配房、菊綴、足袋、草履、印籠、短刀の実物形状、人体、左右位置、材質、色値、染色、画面再現は描いていません。
色が付くのは軍配の房だけではない
日本相撲協会の公式解説では、階級ごとに色が定められているのは、軍配の房、直垂の菊綴、胸元・袖・裾の飾りひもです。菊綴は組みひもを房状にした丸い飾り。遠い席なら、まず動く軍配の房が見つけやすいでしょう。
- 立行司・木村庄之助:総紫
- 立行司・式守伊之助:紫白
- 三役格:朱
- 幕内格:紅白
- 十枚目格:青白
- 幕下格以下:黒または青
「青」は実物や公式資料で緑に近く見える場合があります。画面の色調だけで個人を断定せず、当日の取組順や協会の行司一覧と一緒に確かめるのが安全です。
足元は、初心者にも見分けやすい
幕下格以下の行司は裸足。十枚目格へ上がると白足袋を履くことが許され、三役格から土俵上で草履を履けます。白い足袋が見えたから即座に三役格、というわけではありません。足袋だけなら十枚目格・幕内格も含み、草履まであれば三役格以上、という順です。
私は色の表を覚えるより、この足元の変化の方が先に腑に落ちました。土俵の土へ直接立つ人から、足袋を許される人、草履で上がる人へ。階級が、肩書ではなく土との距離に現れます。
印籠と短刀はどこにある?
協会の説明では、三役格は右腰の後ろ側へ印籠を下げることが許されます。立行司は、右腰の印籠に加えて左腰の前側に短刀を帯びます。短刀について象徴的な説明が語られることはありますが、ここでは公式資料が確認できる装束上の事実を越えて由来を断定しません。
横からの映像なら腰の小さな道具が見えることがあります。ただし、判定の直前に探して取組を見失わなくて大丈夫です。仕切りの間や勝負後の礼で、房、足元、腰の順に一つずつ増やせます。
行司にも格付と所属がある
日本相撲協会の行司一覧には、立行司、三役行司、幕内行司などの格付と所属部屋が掲載されています。装束の違いは飾りの好みではなく、その格付を可視化したものです。一方、軍配をどちらへ上げるか、物言いで何が起きるかは別の記事で整理しています。
呼出も土俵周辺へ現れますが、本稿が挙げる資料で確認できるのは行司の格付と装束です。呼出の階級別装束規則まで広げず、服だけで職種や階級を断定しません。
次の一番では、軍配から房を一本たどる
次に行司が軍配を構えたら、板の図柄ではなく下がる房を一秒だけ見ます。青白なら十枚目格、紅白なら幕内格、朱なら三役格。分からなければ足元へ移り、裸足か足袋か草履かだけ確かめます。
現在の格付は公式一覧で確認できますが、個々の行司がどの経路で経験を重ねたかは、本人ごとの記録を見ずに補いません。二人の力士の間にいる「判定する人」が、名前と階級を持つ一人に変わる。そうなると、行司が土俵を回り込む一歩まで、少し応援したくなってきます。
出典
- 日本相撲協会「大相撲クイズNo.1218、No.1364、No.319」「行司一覧」「令和八年七月場所歴史冊子 行司の世界」(2026年9月2日確認)
確認に使った資料リンク
各リンクは記事内の対応する主張の確認に使用しました。リンク先全体を無条件に正しいとみなすものではありません。
記事確認日:
- 日本相撲協会 大相撲クイズNo.1218 行司装束と階級色一次資料(記事の確認日時点)
- 日本相撲協会 大相撲クイズNo.1364 印籠と短刀一次資料(記事の確認日時点)
- 日本相撲協会 大相撲クイズNo.319 行司の足袋と草履過去の一次資料(当時の記録)
- 日本相撲協会 行司一覧一次資料(記事の確認日時点)
- 日本相撲協会 令和八年七月場所歴史冊子 行司の世界一次資料(記事の確認日時点)